ステーブルコインを理解する
重要ポイント
なぜステーブルコインを持つのか
ステーブルコインは DeFi のエコシステムの土台になりました。2022 年の最盛期には供給量がおよそ 1,400 億ドルに達し(下の図)、2026 年には総供給量が 3,000 億ドルを超えました。2025 年にステーブルコインが決済した取引額は 30 兆ドルを超え、同じ年に Visa が処理した額を上回りました。

需要がある理由は次のとおりです。
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安定性: 自己保管のウォレットにステーブルコインを持つことは、法定通貨をブロックチェーン上で持つようなものです。Circle が発行する USD Coin(USDC)のようなステーブルコインを持てば、ether や bitcoin の価格が動くあいだも、米ドルとの 1 対 1 の価値が保たれると期待できます。
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柔軟性: このつなぎ止められた価値がブロックチェーン上のトークンとして存在するので、法定通貨の価値と暗号資産の価値のあいだを簡単に移動できます。
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アクセス: ステーブルコインがあれば、パーミッションレスな借り入れや、利息を得るための貸し出しなど、さまざまな分散型の金融サービスを使えます。
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安全性: 暗号技術のおかげで、攻撃者がトランザクションを奪ったり偽造したりするのは極めて困難です。
ステーブルコインが法定通貨との 1 対 1 の等価、つまりペッグをどう保つかは、最も重要な性質です。法定通貨がその裏づけの分だけの価値しか持たないのと同じで、ペッグの仕組みが保有する価値を左右します。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインが価格のペッグを保つ方法には、よく使われる 3 つの戦略があります。
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💵 法定通貨担保型: 現実の法定通貨の準備金で 1 対 1 に裏づけます。
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🔗 暗号資産担保型: DeFi プロトコルに預けた暗号資産で、過剰に裏づけます。
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🔃 アルゴリズム型: 完全な担保の代わりに、供給量を調整するアルゴリズムを使います。歴史的には苦い結果が続いた設計です。
1. 法定通貨担保型ステーブルコイン
法定通貨担保型のステーブルコインは、現実の通貨の準備金に見合った量のトークンだけを発行して価値を保ちます。オンチェーンの価格は需要と供給で保たれます。オンチェーンの 1 ドル分の価値に、現実の 1 ドルより多くを払いたい人はほとんどいないので、そうなれば他へ移るだけです。需要が増えれば、ステーブルコイン発行体は追加の法定通貨をロックし、同じ額だけトークンの供給量を増やします。
代表的な法定通貨担保型のステーブルコインには、Tether の USDT と Circle の USD Coin(USDC)があります。Circle はユーロにペッグした EURC も発行しています。
ステーブルコインの発行体はさまざまな方法で収益を得ています。準備金の一部を短期の米国債や現金同等物で運用する方法のほか、取引手数料の徴収や貸し出しサービスを組み合わせた収益モデルもあります。
法定通貨担保型を使うときに考えたい点は次のとおりです。
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準備金の報告: 保有者は、手元のトークンが法定通貨の準備金と 1 対 1 で見合っているという裏づけを必要とします。多くの発行体は
アテステーションを公開しています。これは独立した会計士が、ある時点で準備金が存在したことを確認するもので、発行体の財務全体を対象とする監査より弱いものです。今のところ主要な発行体で監査を公開しているところはありません。Circle は USDC のアテステーションを毎月(Deloitte による)公開し、裏づけについて長く不透明だった Tether も、今は四半期ごとに(BDO による)公開しています。 -
規制: 米国では 2025 年 7 月に成立した GENIUS 法により、決済用ステーブルコインの発行体は現金と短期の米国債で 1 対 1 の準備金を持つことが求められ、保有者への利息の支払いは禁じられました。EU では MiCA の枠組みを受けて、主要な取引所が USDT のような要件を満たさないステーブルコインを欧州の利用者向けに上場廃止しました。
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検閲のリスク: USDC も USDT も政府の調査対象となっており、これらのトークンの
スマートコントラクトには凍結機能が備わっています。好ましくない活動があった場合、その利用者のオンチェーンの保有分をロックできます。この凍結機能はノンカストディアルウォレットにあるトークンにも及びます。
法定通貨担保型の分野は中央集権の度合いが高く、法定通貨にペッグした価値を暗号資産らしいやり方で保つ余地はまだ大きく残されています。
2. 暗号資産担保型ステーブルコイン
暗号資産担保型のステーブルコインはより透明で分散的な選択肢であり、その性質のおかげで一部のリスクを取り除けます。法定通貨とのペッグは暗号資産の準備金で保ちます。暗号資産市場の変動が準備金の総額を左右するため、この種のステーブルコインは過剰に担保されており、ときには 200% に達します。担保となる資産はすべてオンチェーンで見られるので、保有者は自分のステーブルコインの中身をいつでも確認できます。
この分野で最も知られているのは Sky の USDS です。MakerDAO が 2024 年に Sky へ名称を変えたあと、暗号資産担保型の草分けだった Dai(DAI)を引き継ぎました。分散性をより徹底した例としては、過剰担保の ETH の預け入れだけで裏づけられた Liquity の LUSD があります。

考えたい点は次のとおりです。
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担保の評価: ステーブルコインの準備金は通常、暗号資産や他のステーブルコイン、さらには別の資産クラスまで組み合わせています。たとえば USDS は ETH、ステーブルコイン、米国債のような現実世界の資産、その他いくつかの構成要素で裏づけられています。この幅広い資産のリスクを抑えるため、USDS は(執筆時点で)過剰に担保されています。仮に ETH の価格が 20% 下落しても、USDS はトークンを賄うだけの担保を保てます。とはいえ、幅広い資産でさらに価格が荒れれば、ペッグは揺らぎ始めます。
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カウンターパーティリスク:複数の資産クラスに頼るということは、どれかひとつに問題が起きて保有額に影響する可能性が高まるということです。ただし、それぞれのリスクの影響を受けるのは一部だけです。 -
ガバナンスのリスク: この種のステーブルコインと準備金は、分散したガバナンスの投票者によって運営されます。つまり人の判断の誤りや、ガバナンスの乗っ取りのリスクがあります。
3. アルゴリズム型ステーブルコイン
この種のトークンは、完全な担保を持つ代わりに自らの供給量を自動で調整してペッグを保とうとします。市場価格がペッグを下回るとオンチェーンのアルゴリズムがトークンを流通から取り除き、上回ると新しく発行します。理屈のうえでは、銀行にも担保にも頼らないステーブルコインが実現するはずでした。しかし現実には、この設計の純粋な形は壊滅的に失敗しています。
代表例は Terra の UST です。そのアルゴリズムは、1 UST をいつでも 1 ドル分の変動する LUNA トークンに交換できるようにしていました。2022 年 5 月に UST の大量売却が起きると、アルゴリズムは膨大な LUNA を発行せざるをえず、その価格が急落してさらに売りを呼びました。このデススパイラルにより、数日でおよそ 400 億ドルが消えました。UST はペッグを取り戻せませんでした。
生き残ったプロジェクトは純粋な設計を捨てました。かつて一部がアルゴリズム型だった Frax は 2023 年に 100% の担保へ移行しました。現在のステーブルコインである frxUSD は、トークン化された米国債のファンドを含む準備金で裏づけられ、FRAX はプロトコルのガバナンストークンになっています。

その瓦礫の中から、はっきり別の種類が生まれました。Ethena の USDe のようなハイブリッド型、あるいは「合成ドル」型の設計です。暗号資産の担保に加えて、価格の動きを打ち消す取引ポジション(「デルタニュートラル」なヘッジ)を持ちます。担保はありますが持ち方が新しく、そのポジションを預ける取引所への依存や、ヘッジが機能し続ける市場環境への依存といった独自のリスクを抱えます。
考えたい点は次のとおりです。
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デススパイラルのリスク: 純粋なアルゴリズムのペッグは、市場の信頼が続くことが前提です。信頼が崩れると、供給の仕組みは下落を止めるどころか増幅させ、償還に回せる担保も残りません。
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技術的な難しさ: そのトークンを実際に何が裏づけているのか、どんな条件でその裏づけが崩れるのかを理解して初めて、納得とリスクの見極めが得られます。
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新しい技術のリスク: ハイブリッド型や合成型の設計は、市場の一巡を経た検証をほとんど受けていません。一流の監査人による複数の監査を受けたトークンだけを使い、監査は経済設計の欠陥までは守ってくれないことを覚えておきましょう。
ステーブルコインを選ぶ
どのステーブルコインを持つのがいちばんよいのでしょうか。DeFi の何ごとにも言えるように、答えは目的、価値観、取れるリスクによって変わります。
それぞれの種類をおさらいしましょう。
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💵 法定通貨担保型: 昔ながらの方法で、法定通貨をオンチェーンで持つ感覚に最も近いものです。
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価値観:慣れ親しんだ仕組み、機関への信頼。
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リスク:担保の裏づけが不透明、発行体が資金を凍結できる。
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🔗 暗号資産担保型: バランスの取れた暗号資産らしい方法で、担保のリスクを複数の資産クラスに散らします。
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価値観:分散、透明性、前進。
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リスク:暗号資産市場の変動、他の資産への依存。
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🔃 アルゴリズム型: 実験的な最前線です。純粋な設計は壊滅的に失敗し、今のハイブリッド型もまだ検証されていません。
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価値観:革新、資本効率、前進。
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リスク:デススパイラル、経済設計の欠陥、スマートコントラクトの不具合。
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いつもどおり、いちばんの学び方は試してみることです。複数の種類のステーブルコインを持つという選択もあります。
そして忘れないでください。同じ種類でも、すべてのステーブルコインが同じではありません。新しいトークンに触れる前には、必ず自分で調べましょう。
エクスプローラーハンドブックのエントリー「ステーブルコインを理解する」を楽しんでいただけましたか。
旅先で手軽に読み返せる自分の一冊が欲しい方、Bankless Academy の今後の教材を支えたい方は、このエントリーの収集をお忘れなく。よい旅を、エクスプローラー。
よくある質問
人気のあるステーブルコインは何ですか?
時価総額の大きいステーブルコインを見れば、今の市場が何を選んでいるかが分かります。ただしそれは、どう持つべきか、その持ち方がどれだけ安全かを示すものではありません。
時価総額の大きいステーブルコインのリアルタイムな一覧はこちらです。https://defillama.com/stablecoins
暗号資産の利用者は、投資先を選ぶときによく「リンディ効果」を持ち出します。長く存在してきたものほど、これからも存続すると期待できるという考え方です。暗号資産の 17 年の歴史を振り返ると、これが当てはまるのは一部にすぎません。
ステーブルコインはどこで買えますか?
中央集権型取引所(CEX)では、人気のある法定通貨担保型のステーブルコイン(とたいていは自社ブランドのステーブルコイン)を扱っていますが、他の種類は見つからないことが多いです。
暗号資産担保型やアルゴリズム型のトークンを手に入れるには、分散型取引所(DEX)を使うか、「MetaMask Buy」のようにウォレットから直接買えるサービスを使いましょう。ピアツーピアの市場については分散型取引所のレッスンで詳しく学べます。
ステーブルコインで利息を得るにはどうすればよいですか?
CEX の中には、ステーブルコインを預けておくだけで利回りを出すところがあります。原資はプラットフォームの利益の一部で、利用を促すためのものです。米国の読者は注意してください。GENIUS 法のもとでは、規制されたステーブルコインの発行体自身は保有者に利息を払えません。利回りは第三者のプラットフォームからのみ得られ、その提供状況は地域によって異なります。
DeFi でも、トラストレスな貸し借りのプラットフォームで利息を得られます。こうしたプラットフォームは貸し手と借り手をつなぎ、オンチェーンの担保とスマートコントラクトでリスクを管理します。ステーブルコインの貸し手は従来の銀行よりはるかに高い年利を得られることがありますが、報酬のあるところにリスクあり、です。
貸し借りの話題は、それだけで Bankless Academy のひとつのエントリーに値します。今すぐもっと知りたい方は、Aave.com や Curve.fi のようなプラットフォームを調べてみてください。
ステーブルコインがペッグを失うとどうなりますか?
どのステーブルコインの市場価格も、取引の流れによって少しずつ揺れます。主要なステーブルコインなら、たいてい 1 ドルに対して 100 分の数セントの上下です。この程度のずれは、裁定の機会をねらうトレーダーによってすぐに埋められます。
しかし、安全で一時的な範囲を超えてペッグを失う場合もあります。この状態は必ずしも元に戻らないわけではありませんが(USDC、2023 年 3 月)、戻らないこともあります(Terra、2022 年 5 月)。
USDC のような法定通貨担保型の発行体には、自社サイトでステーブルコインを法定通貨に 1 対 1 で交換できるところもあります。危機のさなかにもそれが続くかどうかは、また別の話です。
著者
Tetranome は Bankless Academy のプロジェクトチャンピオンで、ユーザー体験、UI、デザイン、カリキュラムを担当しています。
編集
Trewkat は BanklessDAO のライター兼編集者です。暗号資産と NFT について学ぶことに関心があり、とくにその知識をどう伝えるのが最適かを考えています。
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